• テキストサイズ

【FHQ】勇者の物語

第6章 勇者の剣


「コインの事だよ。これ結構良い値が付くのもあって、冒険者にとっては貴重なお給料だよ?それを知らなかったなんて」
「へぇー」

イケジリさんは困ったように頭を掻いた。

「取り敢えず、コイン手分けして集めよう」
「はい!」

3人で拾い集めて、イケジリさんは自分が拾った分も俺たちにくれた。

「良いんですか?」
「うん。俺は仕事の給料で全然食っていけるから。それに君達は運がいいよ。俺以外の人と会ってたら、コインの事は教えてくれないし、総取りされてたかもね」
「えぇ!?」
「それくらい厳しい世界に入ったと思いな」
「肝に銘じておきます!」

イケジリさんはふっと笑った。

「君達はどこに向かってるの?」
「王都です!」
「俺と同じか。俺も王都に荷物を運んでる途中なんだ。よかったら乗ってく?」
「いいの!?」
「ゴブリンのお礼だよ」

イケジリさんはアオネさんに「ね?」と笑いかけた。
アオネさんは頷いた。

「じゃあお願いシアース!」

お言葉に甘えて、俺とアオネさんは荷台に乗り込み、イケジリさんは馬を走らせた。

「ところで、君達はどこから来たの?」
「烏野村です!」
「か、烏野!?」

イケジリさんは驚いて振り返った。

「サワムラには会った?!」
「はい!良くしてもらいましたよ!」

イケジリさんは前を向いて俯いた。「よかった、よかった」と何度も呟いてる。

「お知り合い、なんですか?」
「ああ、ちょっとな。まさかこんな所でアイツの名前を聞けるなんて………」

ちょっと泣いてる?

俺たちは遅れて自己紹介を済ませて、王都に向けて他愛のない会話を楽しみながら進む。



イケジリさんと会って1日と半日後、つまり夕方ごろに王都に着いた。
予定より早い到着だ。





/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp