第3章 魔物の脅威
「はい、取れたよ」
俺が目を開けると、キノシタさんの口がもごもご動いてる。
「…………え?」
た、た、た
「食べてます?」
「うん、て言ったら?」
もごもご。ごくん。
「キノシタさんって、何者なんですか?」
「祖母が魔族の人間さ」
一晩寝たら足が治った。
夢は……よく覚えてないけど、幸せな夢を見た気がする。
刷り込み治療してる時は悪夢で何度も起きたけど、足は右足以外は無事だった。
キノシタさんに治療(?)してもらったら、1ヶ月近く動かせてないはずなのに、動かなくなる前と同じように動くし歩ける。
これも、キノシタさんのおかげ?
俺はヤチさんに頼んで、キノシタさんにお礼の為にケーキを焼いた。喜んでくれた。
魔族は……怖いよ。
多分、これから先も、しばらくは。
でもキノシタさんは別。俺の命の恩人だから。
アキテル先生が手に負えなかったのも納得できる。
……平穏な日々が過ぎていく。
夏が来て、みんなで川遊びした。
鮎釣り楽しかった。
秋が来て、みんなで栗を拾った。
栗ご飯美味しかった。
冬が来て、雪合戦した。
雪だるまも作った。
春が来て、みんなで花見をした。
俺はやっぱり花より団子。
烏野村で俺は9歳の誕生日、アオネさんは11歳の誕生日を迎えた、その年に。
タナカさんとニシノヤさんが、
居なくなった。