第13章 再会
シェルターで昼食を取ったあと、俺とアオネさんで食料の買い出しに出た。ワイバーンを倒して得た収入で、いつもより美味しい携帯食料を買えたぞ。
ちなみに、烏野村を発つ時にアズマネさんがくれた携帯食料は、道中ですでに食べてしまっている。美味しかった。
シェルターへの帰り道、俺とアオネさんは水路の側を歩いていると、前方から荷台を引く痩せ細った少年がじわじわ近づいて来た。
彼の服装はボロボロで、解れと汚れのあるタンクトップと膝まで破れたズボン。履いているサンダルも左右の大きさも種類も違うし、片方のサンダルは指先部分がなくなっている。
細い手足で肩で息をしながら懸命に荷台を引く。乗せているのは黒い石。鉱石とか練炭かな。
……などと俺が考えていると少年はその場に倒れた。
「あ!」
俺は思わず駆け寄った。
「大丈夫!?」
助け起こすと、とんでもなく軽かった。針金の人形みたいだ。腹が不自然に膨らんでいる。
「うぅ……」
少年は薄目で俺を見て、目を丸くした。
「……も、もしかして……ショウ……ちゃん……?」
俺は頭が真っ白になった。
俺をそのあだ名で呼ぶのは、後にも先にも、彼しかいないから。
「……イズミン?」
「あはは、やっぱりか……。おれ……死ぬのか……」
そう言いながら、弱々しく笑って目を閉じようとする。
俺が見えたら死ぬのかよ! 俺は生きてるぞ!
俺は沸々と湧いてきた感情に乗せて怒鳴った。
「お前どうしたんだよ! こんなに痩せて! 俺は生きてる! イズミンも生きる! そうだろ!?」
俺の大声にイズミンは体を強張らせた。何か様子がおかしい。
「イズミン、これどこに運ぶの?」
「中央……」
中央とは伊達街の最も栄えている場所の通称だ。この街も王都と同じように、金持ちが暮らすエリアを中心に、そこから離れるにつれて貧困度が増し、環境も劣悪になっていく。
俺たちは今、中央から最も遠いエリアにいる。
イズミンはゆっくり立ち上がり、荷台の引き手を取る。
「ごめん、ショウちゃん。行かなきゃ」
「俺も手伝う!」
俺が荷台に手を伸ばそうとして、アオネさんに掴まれた。