第2章 第2の故郷
役場に入ると
「あ!ダイチから聞いてるぞ!ほらこっち座れ!」
突然受付の人にそう叫ばれ、隅のソファに促された。
綺麗な銀髪の青年は奥に消えると、眼鏡の人と一緒に戻ってきた。
「初めまして。僕はこの村の村長をしています、タケダと申します」
「初めまして。俺はヒナタです。こっちはアオネさんです」
村長さんの自己紹介の後、俺も自己紹介をしてアオネさんは会釈した。
「門番から聞きました。雪ヶ丘村の事も含めてです。その……災難でしたね」
村長さんは言葉を選んでいるようだった。
言葉の中に気なる事があった。
「何で俺達が雪ヶ丘村から来た事を知ってるんですか?」
「そのTシャツですよ」
「え?」
俺の質問に、村長さんは優しく答えてくれた。お茶菓子を持ってきた銀髪の受付の青年は笑いを堪えてる。明らかに堪え切れてないが。
「そのTシャツのロゴは雪ヶ丘村の旗と同じデザインなんです」
「……ぁあ!」
これ土産物屋で売ってるTシャツだったのか!イズミン地元大好きだな!
「近くに宿があります。もう話は付けてあるので今日はそこで休んでくださいね。スガワラくん、お願いできますか?」
「お安いご用です。エンノシタ!受付代わってくれ!この子達案内してくる!」
門番が言っていた通り、村長さんは宿を確保してくれていた。受付のスガワラさんが案内してくれるらしい。
「さぁ、宿に向けて出発!」
「スガワラさん、遅くならないでくださいよ?」
スガワラさんが元気に役場を出ようとして、受付の人に声をかけられた。確かさっき、エンノシタって呼ばれてた人。
「わかってる!さあ行こうチビちゃん達!」
俺はチビちゃんでもおかしくないけど、アオネさんはちょっと違う気がする。