第2章 第2の故郷
俺の誕生日の次の日。
俺の村は魔族に襲撃を受けた。
俺達に魔族らの目的を知る術はない。
俺とアオネさんはただ歩いて山を越えて、とある村に行き着いた。俺の故郷である雪ヶ丘村よりも大きい村。
門番は俺とアオネさんを見るや否や青ざめて、すぐに中へ入れてくれた。役場まで行って村長に事情を話せば、宿は確保出来ると教えてくれた。
どういう経緯で宿を確保出来るのか想像ができなかったが、取り敢えず教えてもらった道順で役場まで行く事にした。
役場の紫色の屋根が見えた時、何気なく見た広場は目を疑う光景だった。
広場に植えられた大きなシンボルツリー。その木の囲いの前には何かの焼け跡があった。赤黒い、嫌な跡。
一瞬にしてフラッシュバックした昨晩の光景。あれが現実なんだと突き付けられる。
心音がうるさい。体が熱い。額に汗が滲む。息苦しい。アレから目が外せない。
肩を誰かに叩かれ、頭を乱暴に撫でられた。アオネさんだ。
「ごめん……」
俺から出た言葉は驚くほど弱くて小さかった。風でも吹いたら消えてしまいそうな声。
アオネさんは静かに首を横に振った。アオネさんに背中を押されて歩き出し、役場に入る。
そういえば、広場で蹲っていた2人は誰だったのだろうか。