第10章 工業の街
「ねえケンマ」
俺は2個目のおにぎりの封を開けながら、お茶を飲むケンマを見る。
「売店に行く前に言ってたアレって、ナイトメアと関係あるの?」
ケンマが目を逸らして黙った。
俺はベッドの上でおにぎりを食べながら待ってみる。
ケンマが顔を上げたのは、俺が3個目のおにぎりを半分まで食べた時だった。
「関係ないかな」
「そうなの?」
「俺が言ったのは、この街に住み着くある魔族の対策だったけど、ショウヨウは条件を持ってなかったから、言わなくても良かったかも」
事実、俺は扉を開けてないのに、ナイトメアは俺の横に座っていた。
「ある魔族って?」
ケンマは首を横に振った。
「ショウヨウが知る必要はないよ。変に怖がらせるだけだから」
「……そっか!」
なんかスッキリしないけど、ケンマがそう言うならそうだろう。
「イワイズミさんたち、いつ戻るかな?」
「……夕方ごろじゃないかな。アオネも、心配だからね」
「うん。アオネさん、どこ行っちゃんたんだろう」
午後は暇で、ケンマが売店から買ってきたトランプで時間を潰した。
2人でできるゲームって、思ってたより少ないなあ。
月が空で目立つようになった頃に、イワイズミさんが帰ってきた。カゲヤマはちょっと遅れてくるらしい。
イワイズミさんは栄養のある食べ物をいくつか買ってきてくれていて、俺はありがたくちょうだいした。
カゲヤマが宿に戻ったのは、俺たちが寝る準備を始めた頃だった。
イワイズミさんとカゲヤマは口を揃えて、腕の立つ医者もアオネさんも見つけられなかったと言う。