• テキストサイズ

【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第26章 翡翠の誘惑


「うん、そうだね」

誰とでも分け隔てなく接するハンジの、“マヤ~!” と呼びかけてくる声が聞こえる気がした。

……ハンジさん、大好き…。

マヤがハンジの笑顔を心に思い浮かべて、あたたかな気持ちにひたってぼんやりしていると、ペトラの得意そうな声が聞こえてきた。

「でね! すごい覚え方を教えてくれたのよ」

「えっ、あっ… ごめん。聞いてなかった。何?」

聞いてなかったと言うマヤに、むっとすることもなくペトラはもう一度話した。

「だから~、貴族の “なんとか爵” が色々あるし順番もわからないし、ややこしいじゃん? そのことを団長に言ったら、簡単な覚え方を教えてくれたの」

俄然、興味が出てくる。

「なになに?」

「公侯伯子男!」

「……こうこうはくしだん…?」

「そっ!」

ペトラはすこぶる得意そうだ。

「公侯伯子男の最初の “公” はバルネフェルト公爵の公。二番目の “侯” はロンダルギア侯爵の侯。伯子男の “伯” はグロブナー伯爵の伯、あと子爵、男爵だって!」

「へぇ…!」

「何も難しいことは考えずに “公侯伯子男” と覚えておけば迷うことはないって訳!」

「なるほど。簡単だね!」

「でしょう~! それから団長がカインやレイさんたちに “卿” っていうのをつけて呼んでたじゃん?」

「うん」

マヤはエルヴィン団長が、カイン卿、レイモンド卿とそれぞれ呼んでいたことを思い返した。

「貴族の男性の名前につける敬称なんだって」

「うん?」

マヤは一瞬わかったような、わからないような感覚になって曖昧に返事をしてしまった。

「だから、もしオルオが貴族だったらオルオ卿って呼ぶってこと!」

「あぁ!」

的確なペトラの説明にマヤは思わず大きな声を出したが、すぐに気づいた。

「えっ、じゃあ私、思いきり “レイさん” って呼んじゃってるけど、本当は団長や兵長みたいに “レイモンド卿” って呼ばなくちゃいけないのかな?」


/ 1704ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp