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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第11章 紅茶の時間


……スンスンスンスン…。

ミケは止め処なく嗅ぎつづけた。

「素晴らしい香りだ…」

「……そうですか? ありがとうございます…」

分隊長が父の調合した茶葉を褒めている。

そう思い、マヤは礼を述べた。

「あぁ… こんなにも… かぐわしいなんて」

ミケは今にも昇天しそうな声を絞り出すとともに、マヤを丸ごと包みこんでいる両腕に力をこめた。

「…… “極上” だ…」

「はい? 今、なんて…?」

マヤはミケがつぶやいた言葉に、思わず聞き返した。

しかし答えが返ってくることはなかった。

なぜなら、勢いよく執務室の扉がひらいたからである。





リヴァイが入ってきても、ミケはマヤを抱きしめたままだった。

目の前の光景に、リヴァイの眉根はいつにも増して厳しく寄せられた。

「……何をしている」

冷ややかな声に慌てたのは、マヤだ。

「へ、兵長! あ、あの… これは、新しい紅茶の香りを分隊長が嗅いでいるんです」

そう答えながらミケの腕から逃れようとするが、ミケの腕はびくともしなかった。

「ほぅ… 俺には抱かれているようにしか見えねぇが?」

「ち、違います! 分隊長、離してください。変な誤解されちゃいますから」

ミケはニヤニヤしながら、さらに腕の力をこめる。

「誤解? 誤解じゃなかったら…?」

予想もしないミケの反応に、マヤは叫んだ。

「分隊長…! からかわないでください! 本当にもうやめて!」

マヤが泣きそうな声で暴れ出したので、ミケはパッと両手を放し、マヤの手に優しく紅茶の瓶を押しこんだ。

「いい香りだった。淹れてきてくれないか」

マヤは小さくうなずくと、小走りで部屋を出ていった。


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