• テキストサイズ

【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第25章 王都の舞踏会


「フッ」

勝ち誇った様子のグロブナー伯爵を、アトラスは鼻で笑った。

「何がおかしい」

「だってさ~、なんか勝った気でいるみたいだから、ちゃんちゃらおかしくて。“恥を知りたまえ!” だって~、なぁ?」

アトラスはマヤとペトラの方へウィンクをしながら、ちゃかしている。二人は大笑いする雰囲気でもないので、ぎこちなく愛想笑いをした。

「さぁ、もうほんとこれ以上は時間の無駄だね。レイ!」

アトラスが唐突にレイの名を呼ぶ。

伯爵もカインも、オルオもペトラもマヤも。

すっかりその存在を忘れていたレイ。エルヴィンの背後にひっそりと立っていたレイが、すっと前に出てきた。

皆が “なぜ今、彼の名を?” と意外に思って驚いているなか、エルヴィンだけは涼しい顔をして部屋の壁際まで下がった。

「始めよう」

アトラスのひと声を聞き、レイは無言で懐から何かを取り出した。それは部屋中に散りばめるように配置されたランプの光を集めて、きらりきらりと輝いている。

「……それは…!」

喉の奥から絞り出すような伯爵の声が聞こえる。

「あぁ、そうさ。まぎれもないミスリル銀の短剣だよ?」

「……なん… だって…?」

「表面をミスリル銀でがっちりとコーティングしてあるこの剣をぶっ壊すことができるのは、この世でただひとつ。表面も中身も… いわば骨の髄までミスリル銀100%でできている剣だけさ!」

伯爵の顔から血の気が失せていく。

「マヤ、なんかあの短剣でぶっ壊すみたいだけど…。どう見ても無謀じゃない?」

ペトラが心配そうにささやく。

そう言うのも無理もない。

アトラスが両手で構えている剣は1メートル近くあり、レイが片手で握っている剣はせいぜい20センチほどしかない。

「大きさが違いすぎるね…」

マヤも不安そうに眉根を寄せた。


/ 1703ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp