第25章 王都の舞踏会
「……了解です」
とりあえずはペトラに直接的な命令は下されなく、安堵したオルオはようやく返事をした。
「何を難しい顔してんのよ! 要は貴族に失礼のないようにふるまって、もし巨人の話でもせがまれたら期待に応えるように話をして、そしてちゃっかり舞踏会を楽しめばいいってことなんだから。簡単なことじゃない」
「そうだな」
機嫌の良いペトラに相槌を打ちながらもオルオは、心の内でこう思っていた。
……とりあえずペトラから離れないようにしないとな。
その後しばらくは、ペトラとマヤが紅茶を飲みながら、舞踏会について様々な予想を楽しそうに話し合った。
どんな人たちがいるのかな? とか、食事はどんなのかな? とか、舞踏会っていうくらいだから踊るんだよね? とか…。
そして…、二人が一番に気になっていることは。
「ねぇ、マヤ。グロブナー伯爵のご子息ってどんな人かなってずっと考えてたけど、いよいよあともう少しで会える!」
「そうだね。私まで緊張するけど…。とにかく変な人じゃなかったらいいな…」
「それね! 双眼鏡で覗いてたとか、ちょっと怪しいもんね。でもマヤもオルオもいるし別に怖くはないわ。変なやつだったら無視してごちそうを食べるのに専念すればいいだけだし」
「あはっ、そうだね。お料理、楽しみになってきた!」
「ね~! お酒も美味しいのがあるよね、きっと!」
「もう、ペトラはすぐ酔っぱらうんだから、飲みすぎちゃ駄目だよ?」
「わかってるって! 少~し “たしなむ” だけだよ!」
などと、二人がきゃっきゃとはしゃいでいるとノックの音が響いた。
静かに扉がひらけば、有能な執事。
「……お待たせいたしました。そろそろお時間でございますので、大広間へご案内いたします」