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【リヴァイ】比翼の鳥 初恋夢物語【進撃の巨人】

第11章 紅茶の時間


素直だと言ってニヤニヤしているミケを、リヴァイは睨みつけた。

「ハッ、何を言ってんのかわかんねぇな」

マヤは二人を交互に見ながら、この間のミケの言葉を思い出した。

……分隊長は前にも兵長のことを素直だって言ってたけれど…。

今日の兵長の、どこが素直なんだろう?

あっ… 紅茶を美味しいって言ったからかな?

私の紅茶の淹れ方も褒めてくれた。

オリオンが世話になったと、お礼も言ってくれた。

……そうね… 確かに今日の兵長は今までのイメージと違って話しやすいし、もっとお話したいかも。

マヤがそんなことを考えて口元を緩めていると、リヴァイが立ち上がって部屋を出ていく。

ミケが、リヴァイの背中に声をかける。

「また、いつでも来い」

リヴァイは振り返らずに、そのまま扉を閉めた。

閉まった扉を見つめながら、マヤは訊く。

「あの… 兵長 どうしちゃったんでしょう? なんだか急に機嫌が悪くなったような?」

ミケはニヤニヤするだけで、何も言わない。

「折角 少し話せたのに… 私、何かまずいことでも言っちゃったのかな…」

肩を落とすマヤに、ミケは優しい声を出した。

「マヤ、気に病まなくてもリヴァイは明日もお前の紅茶を飲みにやってくるさ」

「本当に?」

「あぁ、間違いない。そろそろ仕事に戻ろうか」

「はい!」





自分の執務室に戻ったリヴァイは、椅子に体を投げ出すと天井を仰いだ。

……チッ、ミケの野郎 意味ありげにニヤニヤしやがって… 胸糞悪ぃ。

眉間に皺を寄せ天井を睨んでいたが、ふと紅茶の香りの記憶がよみがえる。

……美味い紅茶だったな…。

香りとともにマヤの顔が浮かんできた。

今日… 初めてまともに話をしたな…。

紅茶のこと、オリオンとヘングスト爺さんのこと…。

頬を赤らめながら笑うと、さらさらと髪が揺れる。

笑い声は涼やかで、頬に添えられた指は白く美しい。

……ドクン。

また勝手に心臓が痛くなる。

……クソッ、一体 なんだってんだ!

苛立ちの原因がわからないリヴァイは自分の気持ちを持て余し、いつまでも天井を睨みつづけた。


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