第24章 恋バナ
ごめんごめんと上げていた両手を顔の前で合わせているペトラを怒る気にはなれない。
「いいよ、別に…。出かけてたのは本当だし…」
「そうそう! 出かけてたのは紛れもない事実だもんね。でもきっとマヤは、色んな人にデートだとか言いふらすのは嫌がると思って、ちゃんとフォローしといたよ。執務のつづきで食堂に来るのと同じような感じで出かけただけで、深い意味はないですよ~って」
「マーゴさん、納得してくれた?」
「……微妙な感じだったけど、多分?」
はっきりしないペトラの言い回しに不安になる。
「多分って…?」
「なんかさ、“ふぅん、そうかい? あたしはね、マヤと兵長が…” って何かを言いかけたところで厨房から呼ばれてマーゴさん行っちゃったんだよね」
「マーゴさん、何を言いかけたんだろう…」
「私もね、ちょっと考えたんだけど…、全然わかんない。でも大丈夫じゃない? というか大丈夫も何も、もう別にいいじゃん。兵長とできてはないかもしれないけど、出かけたのは本当なんだからさ。腹をくくっちゃえ!」
「うん…。じゃあ今度マーゴさんに会ったら、ちゃんと自分で伝える」
……本当のことを伝えるのが一番。
リヴァイ兵長とつきあったりはしていないけれど、二人で執務をしたり、食堂に顔を出したり、ヘルネへ出かけた。
それを正直に伝えてあとは、マーゴさんとジムさんがどういう風にとらえるのかは、二人次第だもの。
マヤがそう考えていると、ペトラが明るい声でつけ足してきた。
「マヤが恥ずかしがる気持ちもわからないでもないけど、今日だってハンジさんたちにデートだってことで話を聞いてもらったんだし、オルオやタゾロさんたちにだって知られたんだし。これからはちょっとずつ周りの人に、マヤと兵長とのことをわかっていってもらえたらいいんじゃない?」
うんうんと聞いていたマヤだったが、途中で耳に入ってきた人名に目を見開いた。
「ちょっと待って! タゾロさんたちに知られたって何?」