第24章 恋バナ
顔を赤らめているマヤに対してペトラは、淡々とした口調で話をつづけた。
「でもまぁ、いいや。私が言わなくても、実質オルオがばらしちゃったようなもんだし…」
……オルオがばらす?
「……どういうこと?」
「本当のことを言えと迫ってきたけど私が黙ってたら 、“別にいいよ、こうなったらマヤ本人に直接訊くから” ってマーゴさんは言ったの。それから “今日はまだ来ないね” と食堂を見渡してね。そこで黙っときゃいいのにあの馬鹿が!」
「……オルオはなんて?」
マヤも自然と、ペトラの話す “馬鹿=オルオ” で脳内変換してしまっている。
「それまで興味なさそうな顔してスープをすすってたくせにさ、突然 “あ~、今日はマヤ、来ないっすよ” って言い出したのよ! で、当然マーゴさんが “なんで?” ってくるでしょ? そうしたら得意そうに “兵長とデートしてるんで” だって!」
淡々と話していたはずのペトラの鼻息が俄然荒くなる。
「私だってさ、はっきりそう言いたかったよ? でもマヤの許可なく勝手に言うのもどうかと思って言わなかったのに、オルオの馬鹿は…!」
オルオの勝手な発言に怒っているペトラだが、マヤの着眼点は違った。
「……どうしてオルオは私が兵長とデートしてるなんて言ったんだろう? オルオはなんで知ってるの?」
そうつぶやいてから、ペトラをじっと見つめる。その視線を受け止めたペトラは、目が泳ぎ始めた。
「あれ…? そう言われたらそうだね。なんで… だろうね?」
「ペトラがオルオに言ったんじゃないの?」
「え~、いや…、あいつさ! 結構ああ見えて情報通だから… じゃない?」
苦しい言い訳を始めるペトラ。
「ペトラ?」
マヤがきっと睨むと、降参とばかりに両手を上げた。
「ごめーん! 私が言った! オルオに言った! “今日さ~、マヤと兵長、デートしてるんだよ~” って言った!」