第24章 恋バナ
「ぷはっ」
やっと口の中のバウムクーヘンを食べ終えたペトラは、大きく息をしたあと感想をまくし立てた。
「うん、ほんと美味しい! これくらいの甘さだったら、一個丸ごといけるかも。どこで買ったんだっけ? ペネロペ? だよね? 今度私も買うよ!」
そうしてからマヤの淹れた紅茶をごくごくと半分ほど飲んで、にっこりと笑った。
「あぁ、美味しい。バウムクーヘンも紅茶も。ありがとうね!」
「そんなに喜んでくれたら嬉しいなぁ。それに私の方こそありがとう! 半分こしてくれて」
「いいえ~、ど・う・い・た・し・ま・し・て!」
ペトラは半分ふざけたようなニュアンスで言いながら、バウムクーヘンの残りの四分の一個分を、フォークでさらに半分に切って八分の一個分の大きさにしてから口に入れた。
今度は難なく食べられて、妙なうなり声を発することもなかった。
しばらくは二人ともバウムクーヘンと紅茶に集中した。
「……ねぇ」
マヤが訊く。
「ハンジさん、大丈夫かな?」
「大丈夫なんじゃない?」
「だといいけど」
実はハンジは大浴場で “よしっ、出よう!” と盛大にザッバーンと湯しぶきを飛ばして立ち上がった直後に。
「……あれ? 頭に血がのぼっているのは… 私…?」
とつぶやいたかと思うと、もう一度ザッバーンと豪快に真後ろにひっくり返ったのだ。
長湯でのぼせたハンジを、ナナバとニファは手早く脱衣所へ運ぶと、あっという間に着替えさせ、自分たちも着替えて帰っていったのだった。
「のぼせたハンジさんの扱い、慣れてる感じだったね」
「だね。前にもあったんじゃないかなぁ。ナナバさん、ぐったりしているハンジさんを背負うのも、ひょいと簡単にやっていたし」
「お風呂嫌いで大変そうだけど、すごく仲いいよね。うらやましいな」
「うらやましいって何を言ってるのよ… リヴァイ班のくせに。リヴァイ班の方がよっぽどうらやましいよ」
「へへ、まぁね! ちょっとハンジさんやナナバさん、ニファさんのノリが楽しそうだなって思っただけ!」
ペトラはぺろりと舌を出して笑った。