第24章 恋バナ
とりあえずは皆にお礼を言ったマヤだが、特にハンジには伝えておきたいことがあった。
「ハンジさん、あの… 次の報告はないと思いますので…」
「何を言ってるんだい! あるよ、あるに決まっている。だが… そうだね、もしかしたら次は “執務の礼” という形ではないかもしれない。けど必ずなんらかの理由をつけてリヴァイはマヤを誘うはずさ」
「……そうでしょうか」
「あぁ、間違いないよ! これでも私はあのチビ…」
ペトラがじろりとにらむ。
「……じゃなくって、あのリヴァイとはつきあいが長いからね!」
「ハンジさんがそう言うなら間違いないって! マヤ、次が楽しみだね!」
ナナバが笑いかけてくる。
「はい…。そうだったら…、もしまた一緒にどこかに行けるなら嬉しいな…」
「行ける行ける! そのときはまた髪を結ってあげるね!」
「あっ、そういえばマヤの髪型、いつもと雰囲気が違ってた! ペトラが結ったの?」
「そうなんです。結構、得意で」
「えっ… じゃあ今度、私のもやってくれる? マヤみたいに長くないけどできる?」
ニファが自身の赤毛のおかっぱ頭を指さしながら訊く。
「もちろん! 任せてください」
「ニファはデートの予定はないだろ?」
ナナバの少々意地の悪い突っこみにも負けない。
「別に! デートでなくてもおしゃれしたっていいでしょ! ナナバさんなんか、結う髪もないくらい短いくせに!」
「動きやすくてベストなんだよ、これが!」
「へぇ? おしゃれする必要がないから短いんじゃなくって?」
「なんだと!」
「まぁまぁまぁまぁ!」
小競り合いを始めた部下二人を見かねて、ハンジが仲裁に入る。
「ナナバのベリーショートは理にかなっていて美しい! ニファのおかっぱも愛らしいし似合ってる! 我々はちょっと長湯をしすぎたようだ。今、君たちがカッと頭に血がのぼっているのは、風呂にのぼせたせいだ。よしっ、出よう!」
言うが早いかザッバーンと盛大に湯しぶきを飛ばして、ハンジは立ち上がった。