第24章 恋バナ
「マヤ、大丈夫?」
「うん」
ナナバのおかげで無事にペトラの隣に戻ったマヤは、親友の心配に笑顔で応えた。
「もう…! 巨人のことになったら見境なくなるんだから!」
ハンジを叱るように叫ぶナナバを、ニファがなだめる。
「ナナバさん、今に始まったことではないし抑えて抑えて…」
ナナバによってマヤから物理的に離れたハンジは、冷静さを取り戻した。
「すまなかったよ。マヤがあまりにもビビッとくることを言うもんだから、つい興奮しちゃって…」
「ほ~んと、マヤのおのろけ話を聞くはずが、いつものハンジさん特有の巨人の話になっちゃうなんて全然しゃれになんない!」
ナナバはカリカリしている。
「そうだね。巨人の話はいつでもできる! だがマヤのムフフ話は今夜が旬だ! さぁ、マヤ。話がわき道にそれて悪かったね。思う存分につづきを語りたまえ。えぇっと、誕生日プレゼントをもらって、それから?」
“おのろけ話” や “ムフフ話” なんて言葉が目の前で飛び交って、また赤面していたマヤ。
「おのろけだなんて…、そんな!」
そう思わず言い返したが “おのろけ話” のつづきを期待に満ちた目をして待っている皆の様子を見て、申し訳なさそうにうなだれた。
「……もう何もないです。ごはんを食べてエールを飲んで帰ってきました…。それだけです…」
意気揚々とのろけてくれるかと思いきや、すまなさそうにしているマヤに皆は次々と声をかける。
「そうかそうか。いや、それで充分だよ? なんせ一回目なんだしね! 次の報告は今日のものより熱くて激しいものを期待しているよ!」
「そうだよ、マヤ。初めてのデートにしてはあちこち行って、プレゼントももらって良い誕生日だったね!」
「ほんと、すごいじゃん! 恋嘘仲間としては負けてられないけど…、私の場合は相手を見つけるところから始めなきゃ…」
「マヤ、良かったね。私も嬉しいよ! 誕生日はあとで私の部屋であらためて祝わせて?」
ハンジ、ナナバ、ニファ、そしてペトラ… 四人それぞれの言葉に感謝の気持ちをこめて、マヤは頭をぺこりと下げた。
「ありがとうございます」