第24章 恋バナ
「も、もちろんだよ! ニファ、君は今より前だ」
「今より前ってなんですか!」
「ええっと、確か春だね。うんそう! 春だ」
「春ってざっくりしすぎです。何月?」
「ご…」
ニファの眉がぴくりと動くのを見て、慌てて修正する。
「いや、し…、4月だ!」
「なんか怪しいけど、まぁいいでしょう。4月28日! ちゃんと憶えててくださいね!」
ニファの攻撃をなんとかやり過ごし、ふぅっと息をついているハンジに今度はナナバが襲いかかる。
「……あんまり言いたくないけど、さすがに私のはわかってますよね?」
「当たり前じゃないか! ナナバは、ついこないだ皆で祝ったばかりだ」
「ですよね。確かにハンジさんにも祝ってもらいました」
「そうそう、調整日でなかったから食堂でだったけど、楽しかったよねぇ!」
「ええ、楽しかったですね。それで? 何月何日のことでした?」
「それは…」
顔から湯ではなく、冷や汗が流れるハンジ。
「三日くらい前だったかな?」
「三日前とは?」
冷たいナナバの声色に目が泳ぐ。
「え~、だから…。マヤ、今日は、君の誕生日である今日は何月何日だっけ?」
助けを求めるようにハンジに訊かれてマヤは即答する。
「今日は7月7日ですよ」
「そうだったね! うん。だからあれだ、7月4日だろ、ナナバ?」
「違います」
「あぁ! ちょっとずれたね、7月3日だった」
「あきれてものも言えない」
「え~! 何を怒ってるのさ。誤差の範囲だろ?」
ニファが会話に加わった。
「ハンジさん、そもそも7月じゃないですって」
「そ、そうだったかな? あははは、すまないナナバ。時間の感覚が…」
頭をかいているハンジに、ナナバはあきらめたように。
「6月30日、一週間前。まぁ、ハンジさんに時間の概念はないに等しいか」
ニファも同調する。
「ですね。実験とか始めたら昼も夜もないし? お風呂だって何日も入らなくても気にならないみたいだし」
「そうそう、そうなんだよ! 私には時間は有限であり無限だからさ、日付もあってないようなものだし、君たちの誕生日を憶えてなくても気にしないでくれ!」