第24章 恋バナ
「そんな訳ないじゃないですか…!」
思わず大きな声で言い返したマヤだったが、次の言葉は恥ずかしさもあって小さくなる。
「……誕生日を祝ってもらいました…」
「あ~!」
すぐにペトラが大きな声で反応する。
「そうだ! 今日、マヤの誕生日だったね! ごめん! すっかり忘れてた」
「ううん、私も兵長にプレゼントをもらうまで忘れてたから」
「プレゼントもらったんだ?」
とペトラが目を輝かすのと、
「誕生日か、おめでとう!」「マヤ、おめでとう!」「何をもらったの?」
とハンジ班の三人が一斉に叫ぶのとが、ほぼ同時だ。
「ありがとうございます。あの…、さっき話した紅茶専門店で気に入ったティーカップです」
「それはマヤがおねだりしたの?」
無邪気に訊いてくるニファに対して、違う違うと手を自身の顔の前で振りながらマヤは答える。
「そうじゃないです。用意してたことも全然知らなくて、“荒馬と女” で渡されたときにはびっくりしました。本当に今日、兵長と出かけるってことだけで何日も前からドキドキで、誕生日のことも頭から吹っ飛んじゃっていて…」
「そうだよね、わかるよ! 私だってマヤの誕生日は知ってるのに忘れてたもん」
ペトラのあとにハンジが少し考えているような様子で訊いてきた。
「マヤの誕生日か…。リヴァイは、よく知っていたね?」
「ミケ分隊長から聞いたそうです」
「ふぅん…、ミケがねぇ…」
ますます何かを考えているような様子のハンジにナナバが言う。
「マヤはミケさんの直属の部下ですし、知ってるんじゃないですか?」
「そうだけどさ…」
なんだかはっきりとしないハンジにニファが切りこむ。
「ハンジさん、もちろん私たちの誕生日、憶えてますよね?」