第24章 恋バナ
「ナナバさんまで…。祝福も何も…、違うんです。今日、リヴァイ兵長と出かけていたのは “お礼” なんです」
「「「………?」」」
恥ずかしがって否定しているだけだと考えていた三人は “お礼” などという予想外の言葉を聞かされて、ぽかんとしている。
「……お礼とは一体なんのことかな?」
「兵長の執務のお手伝いをしているんですけど、それのお礼です」
「……お礼ねぇ…」
ハンジは何かを考えている様子で、ゆっくりと “お礼ねぇ” と発音したあとに。
「その “お礼” とやらは、リヴァイが言い出したのかい?」
「そうなんです。私、自分から執務の手伝いを買って出たのはいいけど、本当に役に立っているのか気になっていて…。なので兵長がお礼をすると言ってくれたときは嬉しくって!」
恥ずかしさの頬の赤さが、純粋な喜びのそれに変わる。
……礼をするにかこつけて、リヴァイはマヤと出かけたかっただけか。
ハンジはそう思ったが、恐らく今 “それは違う、礼なんかではない” と指摘したところで、マヤは聞く耳を持たないだろうと判断した。
「そうなんだね。執務の手伝いをしているというのは、私も聞いていたよ。マヤからの申し出だったんだね」
「はい。壁外調査では助けていただきましたし、何かお役に立ちたいと思って…」
またマヤの頬は恥ずかしそうに赤く染まった。
そんなマヤを、ナナバは微笑ましく思う。
「……壁外調査か…。あのときは心配したよ。ハンジさんと身体を拭いたときは、ぴくりとも動かなかったからね」
それを聞いたニファが大きくうなずいた。
「あぁ、そうでしたね、思い出した! ハンジさんとナナバさんで身体を拭いて、兵長がマヤの回復を願ってクラバットを使ったとか変な勘違いをしたんだっけ」