第24章 恋バナ
「ナナバさんの方が少し高いんですね」
「うん」
ナナバがストレッチで腕を伸ばしながら訊く。
「そういうペトラは何センチなんだい?」
「158センチです。もうちょっと高かったらいいんだけど」
「ちょうどいいんじゃない?」
ナナバが言えば、ハンジも。
「背が高くても低くても君は君だ、ペトラ」
そのとき、ようやく身体を洗い終えたマヤが湯船に近づいてきた。
「ふふ、盛り上がってますね。ところでハンジさん、目が悪いのによく入ってきたのが私たちだってわかりましたね?」
そっと足をつけて、ゆっくりと湯に身を沈めながら質問した。
「もちろんそれは、声で判別したのさ」
「あっ、そうか…」
「そうだよ、簡単なことさ。それより聞いてのとおり身長暴露大会になってるんだ。マヤは何センチだい?」
「155センチです」
「ほぅ…」
ハンジが意味ありげにニヤリと笑う。
マヤがペトラと大浴場に姿を現したときから、リヴァイとのムフフ話を訊きたくて仕方がなかった。
だがいきなり質問攻めにしては、恋に臆病なマヤのことだ。恥ずかしがって何も話してくれないだろう。
……急いては事を…ってやつさ。
ハンジは機会をうかがっていたのだ。
自然にリヴァイとのことを、マヤに訊ける機会を。
「155センチか。この中で一番ちっちゃいんだね」
「そうですね。でもペトラとそんなに変わらない… かな?」
「ちょっとマヤ! 3センチも私の方が高いんだからね。変わる変わる!」
「そうね」
マヤはあっさりとペトラに同意して、にこにこしている。
「あれ、マヤ。ペトラみたいにもっと身長が高い方がいいと思ってないの?」
ナナバの質問にも笑顔で答える。
「思ってますけど、ペトラの方が少し高いのは事実ですしね」
「マヤ、わかるよ!」
今が機会だ! と、ハンジが身を乗り出した。
「ペトラより3センチ低いマヤは、この中で一番のチビだ。そしてそんな君は間違いなく、チビのリヴァイと身長が釣り合っている!」