第24章 恋バナ
「確か… 最近、兵長の執務の手伝いをするようになったとかで、一緒に食堂にいるのを見かけるが…?」
と、モブリットがあごに手を当てた姿勢でつぶやけば、
「そそ、それ私も見ましたよ! でも今のって外から帰ってきたんですよね? 二人とも私服だったし…」
と、ニファも同じようにあごに手を当てて考えている。
「もしかして、あの二人って…」
ニファがリヴァイとマヤの仲を疑い始めた。
……やばい。
ハンジとともに、リヴァイとマヤの恋を見守っていこうと決めたナナバは内心で焦った。
……これはどうにかして、ごまかさないと。ハンジさんと協力して…。
そう思ってナナバが、ハンジに何かこの場をごまかすための合図でも出そうかとしたそのとき。
「入る!」
唐突にハンジが叫んだ。
「分隊長?」
「いや~、モブリット。世話をかけたね! 風呂に入ってくるよ」
180度方向転換。
ころっと意見を変えて風呂に入ると言い出したハンジに、モブリットは嬉しいながらも戸惑う。
「それは良かった…。でも急にどうしたんですか?」
「フフフ…。事情聴取に行くのさ」
「事情聴取?」
入浴とは全く異なったカテゴリーの単語が飛び出してきて、モブリットは調子はずれの声でおうむ返しをしてしまった。
「あぁ、そうだ。部屋に帰ったマヤは…、“私と違って” 清潔感あふれる女子のマヤは、風呂に行くだろう?」
やけに嫌味たらしく “私と違って” を発音するハンジ。
「だから大浴場で待ち伏せして、あれやこれや、根掘り葉掘り、とことんじっくり微に入り細に入り余すところなく! リヴァイとのムフフ話を尋問するんだよ」
……ちょっと、ハンジさん! そっと見守るどころか、吹聴してどうするの!
ナナバは頭を抱えこんでしまった。