第24章 恋バナ
「ごめんごめん」
ナナバはニファに両手を合わせて。
「……で、一体なんの “応援要員” なの?」
「……さぁ?」
ナナバとニファのやり取りを見ていたハンジが、ぱんぱんと手を叩いた。
「さぁさぁ君たち! モブリットが何を寝ぼけて呼びつけたのか知らないが、全然 “応援” なんかしてもらう必要はないから速やかに帰ってくれ」
「えぇぇ? そうなんですか?」「せっかく来たのに!」
ぶーぶー言っている二人を追い出そうと、さらにハンジは叫んだ。
「悪かった! さぁもう遅いし、帰りたまえ」
有無を言わせず、ナナバとニファを追い返そうとするハンジ。
「「……了解です」」
大人しく二人が退室しようとしたとき。
「ちょっと待った!」
モブリットの声が響いた。
「分隊長、うまいこと言ってナナバとニファを追い払おうとしても無駄です。気づいてるんでしょう? 俺が二人を呼んだ理由…」
「……さぁ? そんな理由、どこにも転がってないねぇ」
ハンジは白々しく、散らかった床をきょろきょろと見渡す。
「いい加減にしてください!」
モブリットはハンジをたしなめてから、ナナバとニファの方を向いた。
「ナナバ、ニファ。俺は知ってのとおり、ハンジ分隊長に心血を注いで忠誠を誓い実行し、副長として補佐をしている」
ものすごく真剣な様子のモブリットの迫力に圧倒されて、ナナバとニファは黙ってうなずいた。
「なんでもやってきたし、これからもやるつもりだ。努力は惜しまない、時間も同じく」
こくこくと、首を縦に振る二人。
「だが! そんな俺にもどうしたって分隊長の力になれないことがある」
はて? と今度は一斉に首を横に傾ける二人。
「それは、風呂だー!」
「「あぁぁぁ!」」
合点がいったナナバとニファは、同時に声を出した。
「俺は分隊長を風呂に入れたい。でも俺は男だ。嫌がる分隊長を無理やりに風呂場に連れて入ることができないんだ」