第23章 17歳
高まる熱を鎮めるために掴んだマヤの手首。
白くて細くて、やわらかくて…。
鎮まるどころか、ふれているところがなおさら熱い。
このまま熱のままに… 本能のままに抱き寄せてしまいたい。
リヴァイが感情に流されそうになったときに、マヤはささやく。
「あの、放してください…」
戸惑うその声が、リヴァイの理性を引き戻した。
今ここで抱きしめる訳にはいかない。マヤのように “つい…” では済まされない。
すぐにでも掴んでいる手を放さないといけないのに、放しがたくて。
ほんの数秒が、何時間も経ったかのような錯覚にとらわれる。
いつまでも… こうしてはいられない。
ゆっくりとリヴァイはマヤの手首を放した。
「……すまねぇ」
掴まれていた手首は、まるで口づけを落としたかのように紅くなっている。
「いえ… 私の方こそ、ごめんなさい…」
ぎこちなく互いに謝る二人の頬は、ますます茜色に染まる。
「大丈夫か? ……顔が赤いが?」
そう訊くリヴァイの真意は、強く手首を掴んでしまったことでマヤの気分が悪いのではないかという懸念だ。
「大丈夫です…。あの、兵長も赤いですけど大丈夫ですか?」
マヤが見上げた先のリヴァイの頬も紅い。
それはきっと。
「あぁ、なんでもねぇ。赤いとしたら夕陽のせいだ」
まだ壁の向こうに落ちるには高さはあるが、確実に橙色に燃えている夕刻の太陽にリヴァイは顔を向ける。
「そうですね…。私が赤いのも夕陽のせいです…」
「一緒だな」
夕陽のせいにしたリヴァイとマヤは、少し照れくさそうに顔を見合わせた。