第22章 一緒にいる時間
「……だからさ、兵長もそのパターンかもね」
なぜかウィンクしながら話を締めくくったペトラに礼を言う。
「そうだね、ありがとう」
「うん、いいよ! それよりもう上がらない? のぼせそう!」
と言うなり、ざばんと豪快な湯しぶきとともに立ち上がった。
「話しこんじゃったもんね」
マヤもペトラにつづいて湯船から出る。
脱衣所へ通じている扉の付近で、外の様子をうかがったペトラが振り向いてマヤの耳元でささやいた。
「まだ新兵たちいるから、兵長の話はもう終わりね。何かあったら、また今度聞かせて!」
「了解」
ひとことで返したマヤに、ペトラは心からの笑顔を見せた。
「手伝えるようになって本当に良かったね!」
「ありがとう」
「よしっ、じゃあ出るよ!」
扉を開けて、先を行くペトラの頼もしい背中。
マヤは声に出さなかったが、もう一度心の中で “ペトラ、ありがとう” と繰り返した。
本当になんでも話せる友達。なんでも話してくれる友達。なんでも聞いてくれる友達。なんでも聞いてあげたい友達。頼りになる友達、互いに、強く。
ペトラと一緒にいる時間は、いつだってキラキラしている。
……大好きだよ!
ペトラへの想いを胸にかかえて、マヤは浴場をあとにした。
翌日、時刻は19時半前。
まだ二日目だというのに、まるで昔から補佐をしています、リヴァイ兵長の副官ですといった雰囲気を醸し出しているマヤ。
そんな当たり前の風景のごとく、目の前のソファに座って一心不乱に執務を手伝ってくれているマヤの姿に、リヴァイは。
……俺の執務室の一部みてぇだ。
そういう想いが自然と胸の奥から湧いてきて、表情が緩んだ。