第22章 一緒にいる時間
晩ごはんの話になったから、ちょうどいいとマヤはペトラに質問する。
「ねぇ… ちょっと訊きたいんだけど、兵長って晩ごはんを抜いたりする?」
「え~、そんなの知らないよ」
「だってリヴァイ班なんだし、一緒に食べたりしてるでしょう?」
「そりゃ何回かはあるけど…。訓練が一緒だったときとか? でもそんなにはないよ。なんで?」
「兵長ね、私に食堂に行け、自分はもう少し片づけておきたいって言うから、そのうち遅れて食堂に来るのかなって思ったんだけど… 来なかったの。だから晩ごはん抜きなのかな? って…」
「うーん、どうだろ? 食堂に来なかったからといって食事抜きとは限らないんじゃない? パンを買ってあったとか。外に食べに行くのかもよ?」
ペトラに言われて初めて、その可能性に気づかされた。
「あっ、そうか。そうだね」
「でしょ? 私さ… 前々から不思議に思ってたんだけど、エルヴィン団長って食堂で全然見かけないじゃん?」
「あぁ、うん」
「そのことを誰かに言ったら…」
「誰かって誰」
すかさずマヤが突っこむと。
「……忘れた。多分モブリットさんか、エルドさんか、ゲルガーさん… かな? あっ、ナナバさんだったかも! いや、アーチボルドさんだったっけ? ニファさんの可能性も…」
「……もういいよ…。それで? 誰かに言ったらどうなったの?」
「団長は食堂のメニューを包んでもらってるんだって」
「包む?」
「うん。ほら、幹部棟は食堂から遠いし、トレイに乗せたままで運べないじゃん?」
マヤは幹部棟と食堂のある一般棟との距離を考えた。確かに無理がある。
「だから持ち帰り用みたく包んでもらって、部屋で食べてるらしいよ」
「……そうなんだ。知らなかった」
マヤがそうつぶやくと、ペトラは嬉しそうに話をつづけた。
「でしょ! 私が誰かさんからその話を聞いたとき、食堂で団長を見ない理由がわかってめっちゃ納得したのは憶えてる。教えてくれたのが誰かは忘れたけどね」