第22章 一緒にいる時間
一旦ペトラとマヤは隣り合わせの自室に戻り、風呂の準備をして一緒に大浴場へ向かった。
マヤはいつリヴァイ兵長とのことを打ち明けようかと、頃合いを見計らっていた。
いつもの部屋での会話と違い、大浴場は人の目もあるし、声だって響く。
おまけに風呂は新兵の集団に占拠されていた。
壁外調査の前日に兵長に告白するんだと騒いでいた集団ではないけれど、マヤは気のせいか皆が自分を見ている気がする。ひそひそと噂話をしている気分になる。
とてもペトラに、兵長の執務の手伝いの話をするどころではなかった。
二人は他愛もない話をしながら洗い場で髪と身体を洗った。先にすべてを洗い終わったペトラが、ざぶんと浴槽へ浸かる。
「はぁ~! 気持ちいい~!」
マヤが身体の泡を洗い流していると、気持ち良さそうなペトラの声が聞こえてきた。
「マヤ、まだぁ?」
「あ、うん。もう終わる」
泡を綺麗に流して、きゅっと蛇口を閉めると、かたく絞ったタオルで髪を頭上にまとめた。
胸元は手で隠してペトラの待つ浴槽へ歩く。
「はぁ…、マヤって相変わらず出てるとこ出てるね~!」
「そんなことないってば…」
恥ずかしそうに小さな声で返しながら、そっと湯船に入ってペトラの隣に座った。
「ペトラだって胸あるじゃない」
「いやいやいや、私は標準。マヤは男子が求めるサイズじゃない? オルオなんかマヤの裸を見たら、鼻血出してぶっ倒れそう」
「えぇぇ、そんなことないよ」
「あ! そうだね、そんなことないわ。鼻血出す前に舌噛んで死にそう」
「あはは、ペトラったら!」
「えへへ」
無邪気に笑い合う二人の声が、大浴場に響いた。