第22章 一緒にいる時間
ぶつかりそうになった相手はペトラだった。
「ペトラ!」
「あれ、今ごはん終わったとこ?」
そう訊いてくるペトラの後ろにはオルオがいる。
「うん」
「うちらはね…」
ペトラがオルオを一瞬見ながら、
「エルドさんとグンタさんとで談話室にいたんだ」
と言ったときにちょうど、その二人が談話室から出てきた。
「マヤ、惜しいな」
エルドと目が合った瞬間にそんな風に言われ、意味がわからず戸惑う。
「え?」
「もっと早く会ってたら、一緒に談話室に行ったのにな」
「あぁ…、そうですね。私もご一緒したかったです」
「次の機会に」
「はい、ぜひ」
マヤと向かい合うエルドの肩をグンタが叩いた。
「おい、もう行くぞ? マヤ、お疲れ」
「お疲れ様です、グンタさん」
「おぅ」
片手を上げて足早に去ろうとするグンタを、エルドの声が追う。
「おい、何を急いでるんだ?」
「早くしろよ、エルド。風呂が混むだろ!」
「……また風呂かよ」
心底あきれたようにエルドはつぶやくと、マヤたち三人を振り返った。
「じゃあな。……オルオ、一緒に風呂行くか?」
「いいっすか?」
「あぁ」
かなり先を行っていたグンタも誘ってくる。
「裸のつきあいをしてこそ、男の友情ってもんだしな! 早く来い、オルオ!」
「ういっす!」
“男の友情” という先輩からの熱い言葉にオルオのボルテージは上がる。
「ペトラ、マヤ、そういうことだから俺行くわ!」
「はいはい、お疲れ~」「オルオ、またね」
面倒くさそうに手を振るペトラと、にこやかに微笑むマヤに見送られ、オルオはエルドとグンタのあとを追う。
「……裸のつきあい、男の友情か~。マヤ、うちらもお風呂行こうか?」
「そうだね」
マヤは兵長の執務の手伝いを始めたことを報告しなくてはと思っていたので、早速良い機会に恵まれたと内心で喜んだ。