第22章 一緒にいる時間
「分隊長が許可してくださって本当に嬉しい。ありがとうございます」
もうその瞳の輝きはひとつの星どころではない、天を覆う… 星河一天のごとし。
その輝きを前にすれば、自身のくだらない嫉妬心などは捨てるしかない。
ミケはそう感じて、そう信じて。そして自らに言い聞かせるように。
「あぁ…。思う存分リヴァイを手伝ってくれ」
「はい!」
嬉しそうに返事をして、幸せそうに瞳を輝かせているマヤを目の前にすれば、これでいいんだ、これがマヤにとって一番なんだと思えた。そしてそう思うことができたなら、心の乱れも落ち着いていく。
「いつから手伝うんだ? せっかく居合わせているんだし、今ここで決めるといい」
マヤの背中を押すことだって、もうできる。
「あっ、そうですよね…」
マヤの輝く瞳はミケからリヴァイへ向けられた。
……これでいい。
少し淋しく思うがミケは、執務机の端に置かれた新聞を手に取ると広げる。そうすることによって “もうこの件は終わり” と自らを律するように。
「兵長、あの… どうしましょう? いつから始めれば…?」
「俺はいつでもかまわないが…」
「じゃあ…、今日からでも…?」
おずおずとリヴァイの顔をうかがうマヤ。
「そうだな」
リヴァイは持っていたティーカップをテーブルに置くと、音もたてずに立ち上がった。
「ここが終わったら、いつでも来い」
「はい!」
マヤが弾む声で返事をするのを背にしながらリヴァイは扉まで来ていた。出ていく直前に振り返ると、マヤと目が合う。
「では… あとでな」
………!
リヴァイが自分に向けた言葉にマヤの胸が跳ねた瞬間にはもう、扉は閉まってリヴァイの姿は消えていた。