第22章 一緒にいる時間
「……ところでマヤ」
ぴったりと息の合った仲睦まじい様子で二人静かに紅茶を堪能しているリヴァイとマヤを眺めていたミケは、気になっていたことを知るために口をひらいた。
「おとといの夜にリヴァイの執務室に明かりがついているのを見て、執務の手伝いを思いついたんだろう?」
「そうです」
「それで何故もう、リヴァイの許可を取りつけてあるんだ? 昨日は休みだったじゃないか」
「それは昨日、ヘルネで兵長に偶然お会いして…」
話してもいいものなのかとマヤはリヴァイの顔をうかがう。それに気づいたリヴァイが自然な流れで話のつづきを引き受けた。
「こいつが時間外に手伝いたいと言うから、お前の許可が出るならと受け入れただけだ」
「……ほぅ」
ミケは短くひとことで返しながら心の内で軽い驚きを感じていた。
……さっきからリヴァイとマヤの呼吸がぴたりと合っている。
なんなんだ一体。
紅茶を飲むのだって、まるで二人で手を取り合って一杯を一緒に飲むかのような雰囲気が漂っていた。
そして今も、俺の質問に対して二人で一つの答えを…。
リヴァイがマヤを助けたからか?
看病したからか?
それとも昨日、二人の間に何かあったのだろうか?
ヘルネで偶然会ったと言っているが、どこで?
道ばたで? 店で? カフェで? 酒場で?
何を話して、どんな顔をして笑い合ったり? 一緒に品定めをしたり、美味いものでも食ったり?
………。
マヤの幸せを願っているはずなのに、勝手に街での二人を想像するだけで胸が痛む。
ミケが自身の心の揺れに気を取られていると、マヤの声が聞こえてきた。
「……昨日兵長は最初、許可できないって言ったんです。でも私がどうしても手伝いたいって伝えたら、分隊長が許可するならばって。だから今日、分隊長が許可してくれなかったらどうしようってドキドキしてました」
そこで言葉が途切れ、思わずマヤの顔を見ると、その瞳は望みが叶った喜びで星のように輝いていた。