第22章 一緒にいる時間
「だから…!」
マヤはミケへの誠意を、まなざしにこめる。
「分隊長のお手伝いが嫌になったとか、そんなんじゃ決してありません」
リヴァイ兵長の役に立ちたい、少しでも力になりたい。夜間や休日にも執務をしている兵長の手助けに、わずかでもなるならば。
訓練を疎かにはしない。自由時間を兵長のために使えたら。
そんな自分のちょっとした思いつき。
それがまさか、心から信頼を寄せているミケ分隊長の執務のお手伝いに不満があるように思われてしまうなんて…。
「……わかっているさ」
ミケは優しく、そのまなざしにマヤへの理解をこめた。
「すまん…。急にリヴァイを手伝いたいなんて言い出すから、少々… からかっただけだ」
そう。マヤが仕事を嫌になって簡単に放棄するような人間ではないことなんて、わかっている。ただ唐突な申し出の意味を知りたかった。
必死なまなざしで、すがるような瞳で訴えかけてくるマヤを見て後悔した。回りくどいような、からかうような、そして意地の悪いような訊き方をせずにストレートにぶつかれば良かったと。
「お前がここでの執務を嫌になるとか、そんなやつではないことくらいわかっている。ただ… なんで急にリヴァイを手伝うなんて言い出したんだ?」
「おととい…、リヴァイ班と飲みに行って…」
「あぁ、そうだったな」
「夜遅くに帰ってきたら、兵長の執務室に明かりがついていました。エルドさんが兵長は夜も調整日も、執務室にこもって仕事をしているって…」
「確かにそうだな」
ミケは同意した。
調査兵団の幹部ともなれば、華々しく壁外で活躍しているようなイメージが世間ではあるかもしれないが、実際には半分以上が書類相手の執務をこなす毎日である。