第22章 一緒にいる時間
ベッドの上のうさぎのクッションにも負けないペトラの笑顔。
買ってきて良かったと、心からマヤは思った。
「喜んでもらえて嬉しい。でね、ペトラ。ちょっと話があるんだけど…」
「何? ……あっ、とりあえず座って」
「うん」
マヤはうさぎのクッションの隣に、すとんと腰を下ろした。それを見てペトラも自身のベッドに座る。
「街で買い物して、お昼を丘で食べようと思ってね」
「丘? カフェでなくて?」
「そう。お天気も良かったし、アメリでパンを買ったから丘の上で景色を見ながら食べたらピクニックみたいでいいかなって」
「……なるほど。ピクニックね」
「それで丘にのぼったらね、兵長がいたの」
「え!? すごい偶然!!」
「うん。私もびっくりしちゃった。いきなり落ちてきたし…」
「……どういうこと?」
「えっとね…」
マヤは丘にある大きな樫の木から唐突に、リヴァイ兵長が落ちてきたことを説明した。
「でも兵長は、飛び下りたって言ってる」
「……いや、落ちたんじゃない? それ…」
ペトラはいつもクールで冷静なリヴァイ兵長が木の枝から落ちてきたところを想像してニヤリと笑った。
「まぁどちらにしても、いきなり目の前に兵長が現れたのに変わりはないんだけどね…」
マヤはそのときのリヴァイの、どことなくばつが悪そうに地面を見ていた様子を思い返して、胸がトクンと鳴った。
……いつだってこうして兵長のことを思い浮かべるだけで、胸が騒ぐ…。
「それで? どうなったの?」
ペトラにうながされて、続きを話す。
「そこに座ってパンを食べたの」
「一緒に?」
「私だけ食べるのは恥ずかしいしパンをすすめたんだけど断られちゃって… 結局、私ひとりで食べたよ」
「へぇ、そうなんだ」
「でね、今朝言ってた執務のお手伝いをしたいって話!」
「あぁ、うんうん」
「伝えたら、OKもらえたの!」