第21章 約束
「うん…」
マヤはスープを飲みきると、スプーンを置いた。
「街に買い物に行こうと思ってるの」
「そうなんだ」
「何か買ってこようか? あ、それとも一緒に行く?」
「いや、今日こそ…!」
ペトラがなんだか途轍もない気合を入れたので、マヤは思わず息を止めて次に何を言うか待った。
「部屋の片づけをするから!」
「あぁ! そうね、それがいいわ」
「……でしょ? もういい加減、あのひっくり返ったベッドの上をなんとかしたくって」
「そうだよね。それに… 片づけないと、次の買い物にも行けないしね!」
悪戯っぽく笑うマヤに、ペトラは激しく同意した。
「そうそう! そうなのよ…。買い物に行きたくても今のままじゃ、買ってきたものを置くスペースがなくって」
「あはは」
「マヤはいいよね、いつも部屋が片づいてて…」
はぁっとため息をつくペトラ。
「……いいよねって勝手に部屋が片づいてるんじゃなくて、自分でやってるだけだからね?」
「それはわかってるけどさぁ…、なんかコツでもあるの?」
「コツっていうか、散らかさないようにすぐに片づけるだけよ? あとは… 物の居場所を決めておくとか」
「マヤは簡単そうに言うけど、それがなかなかできないのよね~。こういうのって性格だよね。マヤはさ、整理整頓とか得意で、ほら執務の補佐だって文句も言わずにやってるもんね」
「……あ!」
執務の補佐と聞いて、マヤは思い出した。
「何…? どうしたの、急に」
「ペトラ、あのね…、一緒に兵長の執務を手伝わない?」
兵長と聞いて、ペトラは目を丸くする。
「へ? 兵長の手伝い? どういうこと? マヤ、兵長に頼まれたの?」