第21章 約束
……なにか…、私にできることはないかしら…。
ミケ分隊長の執務の補佐をするようになってから、しばらく経つ。最初はきちんとできるかどうか不安だった執務も、今では慣れた。
もし私に、リヴァイ兵長の執務をお手伝いすることができたなら。
………!
今まで全く頭に浮かんだこともないような突飛な考えに、マヤ自身が驚いて暗闇の中、目をひらいた。
「……何を考えているの、私ったら。馬鹿…。大体、リヴァイ班でもないくせに」
自分で自分の考えに恥ずかしくなって、誰にも聞かれていやしないのに照れ隠しに小声で自分をたしなめる。
でも…。
時間外なら。夜や、休日なら?
リヴァイ班でなくても、兵長が許可さえしてくれたら手伝えるのでは?
いや、ミケ分隊長の許可もいるか…。
兵長は守ってくれると約束してくれた。
私もそれに応えたい。ともに戦う。その調査兵団の兵士として至極当たり前のこと以外に何かできることはないかしら。
毎日遅くまで、休日も返上してまで執務に追われている兵長のお手伝いをして、少しでもその負担を減らすことができたら。
それが応えることにならないのかな…。
頭の中でぐるぐると自問自答していたマヤは、心を決めた。
……少しでも兵長の負担を減らしたい。執務のお手伝いを申し出てみよう。
断られるかもしれない。
というか、ほぼ “いや、いい” とまた聞かされる気がする。
それでもいい。言ってみる。
「兵長、お手伝いさせてください」と。
そこまで決心したとき、まだ何か心にひっかかる気がした。
なんだろう?
暗闇の中で軽く目をつぶりながら、軽く頭を右に左に振りながら考える。
すぐに答えは見つかった。
……ペトラだ!