第21章 約束
ペトラがしおらしくなった瞬間に密かに顔を輝かせたオルオは、ペトラの叫びにがっくりと肩を落とした。
「そうか? まぁ、好きにすればいいがな」
エルドはそれ以上はペトラにオルオを押しつけようとはせず、話の矛先を転じた。
「マヤは? マヤはどうなんだ?」
皆の話を聞きながら、今まさにサラダのトマトを口に入れようとしていたマヤは驚いてしまった。
「……私ですか?」
「うん。いい人はいないのかい?」
「……いません…」
フォークで突き刺したトマトに負けないくらいに、マヤの顔は赤くなっている。
「じゃあ、これから恋に発展しそうな幼馴染みとかは?」
今度はグンタが訊いてきた。
「あ、えっと…」
口ごもってしまったマヤを見て、すかさずペトラが割って入った。
「ちょっとお二人とも! いくらマヤが可愛いからって、私の友達に根掘り葉掘り質問しないでください!」
「おっかねー」
グンタが苦笑いすれば、エルドはマヤに軽く頭を下げた。
「嫌だった? ごめんな」
「いえ! すみません… あの私…」
「マヤ、無理しないでいいよ」
リヴァイ班全員の視線が自分に向けられていることをひしひしと感じたマヤは緊張してうつむいてしまっていたが、かばってくれたペトラの優しさに感激して顔を上げた。
「ペトラ、ありがとう。でも大丈夫…」
「そう?」
「うん」
ふと強い視線を感じてオルオの方を見れば、目が合った瞬間に大きくうなずいてくれた。
ペトラとオルオの二人に励まされ、マヤは話し始めた。