第21章 約束
「お待たせしました~♪」
威勢の良い声とともに、大量の料理が運ばれてきた。
「待ってました!」
ペトラがテーブルの上に次々と並ぶご馳走の数々に、目を輝かせている。
「うわ~! このサラダ、トマトがてんこ盛り!」
「骨付き肉のから揚げなんて、何か月ぶりだよ…」
涙ぐみながら両手で二本の骨付き肉を掴んだオルオをペトラは睨みつけた。
「オルオ! みんなの分がなくなるでしょ!」
「うるせー! お前の相手を年がら年中してる俺の身にもなってみろよ。肉くらい好きに食わせろってんだ!」
「は? 何よそれ! 私がいつ、あんたに相手をしてくれって頼んだのよ!」
いがみ合う二人を眺めながら、グンタはにやにや笑っている。
「……あいつら、なんだかんだ言ってお似合いだよな。マヤ、そう思わないか?」
「そうですね。幼馴染みだけあって、息がぴったりだと思います」
「それだよな! 討伐の時も抜群のコンビネーションだぜ? もうこのまま、つきあっちまえばいいのによ」
肉をめぐってオルオと言い争いをしていたペトラの耳がぴくりと反応した。
「ちょっとグンタさん! 恐ろしいこと言わないでくれます?」
眉を吊り上げているペトラの怖い表情を見て、慌ててグンタは訂正した。
「冗談だ。真に受けるなよ」
酒のせいにしてはまだ早いが、なぜか顔が少し赤くなっているオルオを、優しい気持ちで見つめながらエルドが会話に参加した。
「ペトラ、幼馴染みとの恋愛も悪くはないと思うぞ?」
「……エルドさんまで、何をふざけたこと言ってるんですか」
「ふざけてなんかないさ。前に話したことのある俺の彼女は幼馴染みなんだ」
「そうなんだ…」
「あぁ。互いをすべてわかっている相手との恋もいいもんだぞ」
「そうかもしれないけど…」
ペトラは一瞬しおらしい態度を見せたが、次の瞬間には。
「でもやっぱオルオなんか考えられない!」