第21章 約束
「へぇ…」
グンタはそのごつごつとした顔を、じっとマヤに向けながらエルドの話を聞いていたが、聞き終わるやいなや突撃した。
「今まで話したことなかったよな…?」
「あ、はい。そうですね」
「俺はグンタ・シュルツ、よろしくな!」
「私はマヤ・ウィンディッシュです。よろしくお願いします」
マヤは慌ててぺこりと頭を下げた。
「ははは、知ってるさ! 変なやつだな、お前」
笑い飛ばしたグンタにマヤは遠慮がちに言い返した。
「あの…、お言葉ですけど…。私の方こそグンタさんのことは、よく存じ上げてまして…」
「へぇ、そうか? なんで?」
二杯目のエールをグビグビと飲みながらグンタは訊く。
「なんでって…、リヴァイ班ですし、知ってて当然ですけど」
「ふぅん…。まぁ そうかもな!」
「そうですよ、リヴァイ班は調査兵団の花形で人気ですもの。まさか友達がリヴァイ班になるなんて思ってもみませんでした」
「花形か…」
マヤの言葉にエルドが反応する。
「でもまぁリヴァイ班の人気って、ほぼ兵長人気だけどな」
「……だよな」
グンタが同意する。
「花形のリヴァイ班のはずなのに全然モテないぜ、俺?」
「俺はグンタよりはモテてる」
「なんだと! 大体エルドは故郷に彼女がいるんだから、別にモテなくていいだろうが!」
マヤは目の前で繰り広げられるやり取りに思わず微笑んでしまう。
「ふふ」
正面ではエルドとグンタが、隣ではペトラとオルオがそれぞれ楽しくやり合っている。
壁外調査から無事に帰還し、こうして楽しい酒の席に参加できることにあらためて、生きている喜びを実感した。