第21章 約束
時は19時少し過ぎ。
リヴァイ班のメンバーであるエルド、グンタ、オルオ、ペトラ。そしてマヤは今、調査兵団御用達の居酒屋 “月夜亭” の卓を囲んでいた。
四人掛けの席にエルドとグンタが隣り合わせに座り、その向かいにペトラとマヤ。補助席のいわゆる “お誕生日席” にはオルオ。
「なぁ…、なんで俺の席はいつも、あとから持ってきた椅子な訳?」
「前にも言ったけど、あんたが一番この中で余計だからじゃない!」
「はぁ?」
ペトラとオルオの仲が良いのか悪いのかわからない、いつものやり取りが始まった。エルドとグンタはやれやれ、マヤはにこにこと二人を見守っている。
そこへ注文していたエールが運ばれてきた。
「はいはいお二人さん、ストップ! 酒、来たから!」
グンタが叫び、エルドが乾杯の音頭を取った。
「マヤの全快を祝って、乾杯!」
「「「乾杯!!!」」」
カチンカチンとグラスを合わす音につづいてグンタとオルオが、ゴクゴクゴクゴク、プハー! と定番の音を響かせた。エルドは静かに飲み干し、ペトラとマヤは女の子らしくコクコクと飲んだ。
「マヤ、元気になって良かったな。お前が巨人にやられたって聞いたときは焦ったが、こうしてあのときの約束を果たせて嬉しいよ」
「ありがとうございます。私もエルドさんとご一緒できて嬉しいです」
エルドとマヤの会話に、グンタが入ってきた。
「おいおい、俺もまぜてくれよ。あのときって?」
「壁外調査の前の日にな、マヤと偶然一緒になってちょっと色々話をしたんだ。そのときに無事に帰ってこれたら飲みに行こうって約束したのさ」