第21章 約束
……リヴァイのやつ、妬いてるのか…。やっぱりわかりやすいな…。
ミケは内心のニヤニヤが止まらない。
だが下手をしてそのことがリヴァイに伝われば、面倒な事態になると考え、澄ました顔でこう答えた。
「新聞に載っている問題を、時々こうしてマヤと一緒に考えているんだが…?」
「それは見ればわかる。前に来ていた時には、そんなことはしていなかったじゃねぇか」
「それはそうだ。お前が何故だか… “ぱったりと急に” ここに来なくなった時に始めたんだからな、フッ」
「……あ?」
ほんの少し意地悪な気持ちがこめられたミケの言葉に、そしてまた最後に鼻で笑われて、リヴァイの眉間の皺はさらに深く刻まれていく。
上司二人のやり取りをはらはらして見ていたマヤは、こう考えた。
……兵長は仲間外れにされたと思ったのかしら?
「……兵長!」
じろりと向けられた鋭い視線にひるむが、思い切って。
「兵長も一緒に考えましょうよ! えっと問題は…」
「……明日だ」
「え?」
「答えは… “明日” だ」
さらっと答えるリヴァイの顔を真正面からまじまじと見つめながら、マヤはつぶやく。
「……明日…?」
すかさずミケがもう一度問題を読んだ。
「過去にはなく、未来に存在し、今は存在せず、決して見ることも掴むこともできない。だが生きとし生けるものが皆、存在すると信じているものは何?」
読み終わると顔を上げてひとこと。
「……なるほどな、”明日” か」
マヤはミケが読んだ問題と、リヴァイが口にした答えをゆっくりと頭の中で反すうした。
……ほんとだ! “明日” だわ!
答えに納得がいくと、その顔がぱぁっと輝いた。