第20章 想う
「ほんとそれだよね~。覚えてる? ここでみんなで、兵長と団長のどっちがかっこいいか盛り上がったの。マヤなんか最初、兵長のことを兵長って呼ぶって知らなくてさ。なんか無関心だし、絶対これは彼氏がいるんだなって思ったわ。そうしたら案の定、イケメンのマリウスと一緒にいるからてっきり彼氏かと思ったら違うって言うし」
「だって違うもん。一緒にいて彼氏になるんだったら、ペトラの彼氏はオルオだね!」
少々意地悪くマヤが言い放つと、ペトラは心の底から嫌そうな顔をした。
「やめてよ…。マジでやめて…」
「あはは、ペトラ、顔色が悪いよ?」
まるで顔に縦の線が走ったような勢いで顔色を悪化させたペトラは、腹の底から低い声を絞り出した。
「せめて…、オルオがマリウスみたいにハンサムだったら…。なんでマヤの幼馴染みはキラキラで、私の幼馴染みはシワシワなんだろう…」
「ん? オルオってシワシワだっけ?」
マヤはオルオの顔を思い浮かべる。
「そんなにシワシワじゃなくない? ……ちょっと年上に見えがちなだけで…」
「……いいよ、そんな妙な気の遣い方しなくて。老けて見えるってはっきり言っちゃってよ」
「………」
一瞬、言葉に詰まってしまったが。
「でもオルオは面白いし優しいし強いから! 私は好きだよ」
「はぁ…。私は性格悪くてもイケメンが良かったわ」
ため息をつくペトラにマヤは反論した。
「ペトラ、男の人は顔より性格でしょ!」
「そりゃ性格も大事だけど、やっぱ見かけじゃん。マヤだって兵長のこと、顔で好きなんじゃないの?」
「え、私は…」
マヤは心にリヴァイ兵長を思い浮かべた。