第20章 想う
「どうぞ」
ペトラの部屋に突撃したら、思いがけない事情でペトラを自室に招き入れることとなったマヤは、半分笑いながら扉を開けた。
「お邪魔しまーす!」
ペトラは嬉しそうに叫ぶと、クレアのベッドにどすんと座った。
「やっぱ落ち着く~」
「そう?」
「うん。マヤの部屋、いつ来ても綺麗だもん」
部屋中ぐるりと見渡しながら言うペトラに、マヤは反論した。
「でもあんまり片づいてるのも落ち着かないって言われるけど?」
「え~、そんなことないよ。私もほんとはいつもマヤみたいに片づけたいんだけどね。なかなか時間がなくってさ」
ペトラが口を尖らせている。
「ふふ、じゃあ今も誘わなきゃ良かったね。帰って片づけた方がいいんじゃない?」
「なに意地悪言ってるの! さ、早くその美味しそうなりんごを食べよう!」
「うん、じゃあ紅茶を淹れてくるね。ちょっと待ってて」
「はぁい」
マヤがりんごを持って出ていった。
ペトラはもう一度、部屋を見渡す。
そして先ほど見渡したときに気になったものをじっと見つめる。
それはマグカップにいけられた黄色の花。
……なんだろう。気になる…。
マヤは花が好きだ。少なくとも私よりは。
いや、私だって人並みには花が好きで綺麗だと思うけど、マヤみたいにラドクリフ分隊長を手伝って花壇で泥だらけになるほどは好きではない。
あんな面倒なこと…。
花なんて、いつか素敵な彼氏ができたときにプレゼントしてもらうものじゃない?
花が好きなマヤだけど、今までにこうやって部屋に飾っているところを見たことがない… 気がする。
もしかして、誰かからもらったとか!?
……まさか、リヴァイ兵長?
ペトラが机に飾られているガーベラについて、あれこれと妄想をふくらませているとマヤが帰ってきた。
「お待たせ!」