第19章 復帰
席を離れるミケとタゾロと入れ違いにやってきたのは…。
「ナナバ! ニファ! ここ空いたから!」
ハンジに呼ばれてやってきた二人は、ミケとタゾロが座っていた席に腰かけた。
「マヤ、元気そうで良かった!」
ニファが早速、声をかけてきた。
「ニファさん、ありがとうございます。見てのとおり、元気…」
にこやかに礼を述べていたマヤは、ふとナナバが心ここにあらずの様子で遠くを見ていることに気づいた。
その視線の先を追えば、食堂の扉からミケとタゾロが出ていくところだった。
……ん?
不思議に思って再びナナバの顔を見れば、心なしか瞳が潤んでいる気がする。
……ナナバ… さん?
完全に二人が食堂を出ていき視界から消えると、ナナバは急に扉からマヤへ意識を向けた。
「本当だ! 元気になったんだね、おめでとう!」
「……ありがとうございます、ナナバさん」
すかさずハンジが会話に入ってきた。
「ナナバ~! 聞いてよ! ミケにさ、マヤをうちの分隊によこせって言ったんだけど見事に断られたんだ」
「……そりゃそうでしょ」
「え~、なんでさ!?」
「お気に入りの部下だから執務を手伝わせてるんだろうし、そのうち副官にするんだと私は思ってますけど?」
「副官! マヤが副官! 私もマヤを副官にしたい!」
「……モブリットさんがいるでしょ」「……俺の立場は…」
そんなにぎやかなハンジたちの会話を遠くに聞きながらマヤは、今しがた目撃したばかりのナナバの表情の意味を考えていた。
……ナナバさんが目で追っていたのって…、ミケ分隊長かタゾロさんのどっちかよね…?
どっちなんだろう?
そして… どうして?