第19章 復帰
「二人がそんなに言うなら、いいけどね。それにしてもマヤ」
急に呼びかけられて、顔を上げる。
「元気になってくれて私は嬉しい! また一緒に戦ってくれるかい?」
「はい、もちろんです」
「良かったぁ! 今回のことに懲りて、マヤが巨人捕獲班から脱退したらどうしようかと思ってたよ」
横からモブリットが心配そうな声を出す。
「……分隊長。捕獲班にはもうマヤは入れない方が…」
「何を言うんだ、モブリット! マヤは滅茶苦茶有能な上に、生け捕りに理解のある稀有な人材なんだよ?」
「そこに異論はないですけど、やはりあんなことがあったし…。いずれまた加入してもらうとしても今すぐっていうのは…」
「……モブリットさん」
リヴァイと自身の抱いたうんぬんの恥ずかしい話題が流れてほっとしていたマヤは、モブリットをまっすぐ見つめた。
「心配してくださってありがとうございます。でも、もう大丈夫です」
「マヤがそう言うんなら…。次の壁外調査も決まってないし、捕獲班が結成されるかどうかもわからないしな。まぁ、ゆっくりいこうか」
「はい」
……モブリットさんは優しいな…。
マヤがそう思ってスープを飲んでいると、もぐもぐとパンを噛んでいてもう会話には参加しないのかと思われたハンジがまた話し始めた。
「マヤには期待してるよ。あのときだって巨人が体勢を変えるのをいち早く察知したしね。ほんと捕獲班だけと言わず、うちに来てほしいよ。ねぇ、ミケ!」
くるりと左横に座っているミケの方を向くと、頼みこむ。
「マヤをさ、我が第二分隊に譲ってくれ!」
「は?」
「マヤが欲しいんだよ。ほら、ミケの交換条件をのむからさぁ! マヤを差し出す代わりに誰か… いや物でもいいよ? なんでもいい、何か欲しいものはないかい?」