第19章 復帰
調査兵団の精鋭で編成された特別作戦班、通称 “リヴァイ班” は、確かにかっこいい。
……この子たちが憧れるのも、わかるなぁ…。
マヤはそう思いながら、発破をかけた。
「そうね、私も入りたいわ。そのためにも訓練を頑張らなくちゃね! さぁ、行くわよ」
「「「了解っす」」」
マヤたち四人は、倉庫を出て立体機動訓練の森へ足を向けた。
しばらく歩いていくと、森の入り口で大きく手を振っている人影が見えた。
「タゾロさんだ!」
嬉しそうに叫んだジョニーが駆け出した。それに残りの三人もつづく。
「お~、おはよう!」
「「「おはようございます、タゾロさん!」」」
「ははは、みんな威勢がいいな。マヤ! 退院おめでとう。見舞いに行けなくて悪かったな」
「いえ! そんなとんでもないです。医務室で寝てただけですし…」
「思ったより早く復帰できて良かったな」
「はい、ありがとうございます」
笑顔を交わし合うタゾロとマヤ。そこへギータが遠慮がちに声をかけた。
「……あの、タゾロさん。マヤさんから聞いたんですけど、自主練で朝に走ってるって…」
「あぁ、そうだけど?」
「どこを走ってるっすか?」
横からダニエルも訊く。
「グラウンドのときもあるけど、単調で飽きるからな。兵舎を出てヘルネまで行って街ん中をぐるぐる走ってから帰ってくるコースが多いかな? あとはこの森ん中とか…」
ヘルネとは、兵舎の最寄りの街だ。普段、兵士が買い物に行くのも、飲みに行くのも歩けば30分ほどの距離にあるヘルネである。
「へぇ、すごいっすね! オレも走ろうかな…」
「ギータ、いい心がけだな。俺は毎朝5時半から走ってるから、気が向いたら来い。一緒に走ろう」
「え? いいんですか?」
と目を輝かせるギータと対照的に、ジョニーとダニエルは顔を見合わせてコソコソとささやいていた。
「……5時半だってよ…」「ぜってー無理…」