第19章 復帰
眉間に皺を寄せて黙っているリヴァイに対して、ミケはさらに言葉を重ねた。
「それから…、マヤはもう帰った」
「見ればわかる」
「そうだがな、マヤに用があったのじゃないかと思ってな」
ミケの見えないところで、ぐっとこぶしを握ったリヴァイは低い声を出した。
「とにかく次からは、まともなものを提出しろ」
退室しようとくるりと向けられた背中にかけられた言葉は。
「待ってくれ、リヴァイ」
渋々振り返る。
「お前の部屋から帰ってきたマヤの様子が変だったんだが、何かあったのか?」
「別に何も」
「……そうか。顔色も悪かったし、てっきりお前が何かひどいことでも言ったのかと思ったんだがな」
……あいつが嫌がることなんか言う訳ねぇだろうが。
それにしても…。
リヴァイは考え始めた。
確かにマヤの顔色は急に悪くなった。
一体あのとき、何があった?
何も心当たりはない。
あるとすれば…。
ふしだらな行為を思い返していたことを知られた…?
そんなはずはない、頭の中に浮かんだものがマヤにわかる訳がない。
まさか、肉体の変化に気づいた…?
……な訳ねぇよな。
本当に一体どうしてマヤはあのとき、急に様子がおかしくなったんだ。
一向に考えをまとめられずにいると、ミケの声が聞こえてきた。
「……何もしてないのなら、恐らくお前の態度が素っ気なくて怖かったんだろうな」
「そうか」
……かもしれねぇな。確かにそれが一番しっくりくる答えだ。
リヴァイはミケの意見に納得して軽くうなずいた。