第18章 お見舞い
マーゴは甥のジムがマヤのことを好きだと主張しているが、マヤは全く信じていない。
ジムの自分に対する態度は到底好きな女性へのものとは思えない。
機嫌がいつも悪そうで怒鳴られたこともあるし。
ただ壁外調査の前日は、マリウスのことを気遣ってくれたりして少し今までとは違った気がする。
でも、だからといって亡くなった兵士と近しい者への態度としては、ごく普通ではある。
でも…、オルオが舌を噛むまで揺さぶりつづけるなんて一体どういうつもりなのだろう。
……訳がわからない…。
ただ心配してくれていたことだけは間違いなさそうだ。
マヤが小難しい顔をして色々と考えを巡らせていると、マーゴが再び話し始めた。
「でね! あたしは確信したよ、ジムはやっぱりマヤのことが好きだってね!」
「いや…、あの…、必ずしもそうとは限らないのでは…」
「なんで!?」
「なんでって…、私が食堂に来ないことにたまたま気がついただけかもしれないし。オルオを問い詰めたのも、たまたまそんな風に激しくなってしまっただけなのかもしれないし…」
あごに手を当てながら話すマヤを、マーゴはあははと笑い飛ばした。
「何をたまたまたまたま言ってんだ! あたしはね、あの子をこ~んなちっちゃいときから知ってるんだ。間違いなくあれは、あんたにほの字なんだよ!」
「……ほの字?」
「何すっとぼけてんだい、惚れてるってことさ!」
「………」
マヤは困ってしまった。こんなにもはっきりと好きなんだ、惚れてるんだと断言されたところで、どうしたらいいのか全くもってわからない。