第7章 リヴァイ班
「297… 298… 299… 300!」
300のかけ声とともに、ペトラは支えていたオルオの両足をパッと離した。
ドサッ!
ガリッ…。
いつもの元気もなく力なく舌を噛みながら、オルオは倒れている。
「ペ、ペトラァ… もうちょっと優しく下ろしてくれや…」
「はぁ? これくらいで何言ってんの?」
ペトラは不機嫌そうに腕を組んでいる。
「兵長なんか補助なしでやるんだからね!」
今は会議出席中でいないがともに鍛錬をするときは、この逆立ち腕立て伏せをリヴァイ兵長は、単独で軽々とこなしていた。
オルオはゼイゼイと息をしながら、なんとかペトラと会話する。
「へ、兵長は… あの人は特別だろ…。比べんなや…」
ペトラの番になる。
「ちょっと余計なとこ、さわらないでよ!」
「けっ! 誰がお前のケツなんか!」
最初は威勢よく補助のオルオに文句を言いながら腕立て伏せをしていたペトラだったが、ほどなくしてそんな余裕はなくなった。
ハァハァハァ…。
ペースが下がり苦しそうに息をしている彼女の様子に、オルオは補助で支えている足首を掴む手にぎゅっと力をこめた。
「あと少しだ! 頑張れ!」
「ハァハァ… う… うるさい!」
すでに終了したエルドとグンタも、そばに来てそれぞれ応援する。
「ペトラ、あと10回だ!」「一緒に数えてやるから!」
エルド、グンタ、オルオが声を合わせてカウントダウンをする。
「297… 298… 299… 300!」
「よっしゃー!」
オルオは自分のことのように歓声を上げ、そっと足を下ろしてやった。
汗だくになって声も出せずにゼイゼイと肩で息をしているペトラに、エルドがよく頑張ったなとねぎらう。
グンタも、
「このメニューこなせる女って、ペトラくらいじゃないか」
と、笑いながら褒める。
「こいつは女じゃないっすから!」
オルオがすかさず突っこむと、ペトラの拳骨が飛んできた。
「その調子なら、次いけるな!」
エルドは笑い、皆に指示を出した。
「よし! じゃあ各自腹筋背筋スクワット、ちゃっちゃと300回いくぞ!」
「はいよ!」「うぃーっす」「はぁい!」
グンタにオルオ、ペトラの声が重なった。