第18章 お見舞い
髪を乾かし終え大浴場を出たマヤは、思いきり伸びをした。
「はぁっ、贅沢な時間だった!」
広い湯船と、いつもはゆっくりできない大きな鏡の前の特等席を独占できて大満足だ。
……お風呂にもやっと入れたことだし、アルテミスに会いに行こうっと!
身体も気分もスッキリ爽快になって、足取りも軽い。まるで空を飛んでいるような感覚で、あっという間に厩舎にたどりついた。
アルテミスの馬房を目指して中に入ると、早速よく知るコンビを見かけた。
「サムさん、フィルさん、こんにちは!」
馬房の寝わらを敷く作業に没頭していた二人は声をかけられるまでマヤに気づいていなかったので、驚いた様子で顔を上げた。
「「マヤ!」」
サムは首にタオルをかけ、フィルは額に巻いている。
「巨人にやられたんだってな! 心配したぞ」
「もう大丈夫なのか?」
気遣ってくれる二人の気持ちがマヤには嬉しい。
「ありがとうございます。帰還してから医務室に入院… というのは大袈裟かもしれないですけど、寝起きしてました。もうすっかり元気です!」
「そうか! 良かったな!」
日に焼けた顔に白い歯をこぼしてサムが笑う。
「……で、大事な相棒の顔を早速見にきた訳か」
考えていることはお見通しだよという顔をしながら、フィルがつぶやく。
「はい、そのとおりです!」
にっこりと笑うマヤに、サムは教えてやった。
「アルテミスならさっき寝わらを敷いてやったが、元気にしているよ」
「そうですか、ありがとうございます。じゃあ行ってきますね」
「「はいよ!」」
片手を上げて作業に戻った二人に頭を軽く下げて、アルテミスの待つ奥の馬房に進む。