第18章 お見舞い
そっと指先でくちびるにふれてみる。
……やわらけぇ…。
想像どおりの感触に目を細めていると、ふれている薬指を温かく包むのは眠っているマヤの寝息だ。
綺麗な小さな形の鼻の穴から静かに漏れる息が、指先にかかる。
それはまるで果てのない口づけをしているときに感じる互いの息の熱さを思い出させる。
……クッ…。
純で透き通った想いよりも、色欲の混じった不透明な熱が全身を支配していく。
なかば無意識にリヴァイは、軽く閉じているマヤのくちびるを強引にこじ開けた。肉厚でやわらかいくちびるの先には小さな白い歯が指の侵入を拒んでいた。
軽くひらいている上下の歯の間に指を無理やり突っこめば、温かい舌が芳醇な唾液とともに迎え入れてくれた。
「……んっ、ふぅ…」
リヴァイの薬指を咥えたマヤは少し苦しそうな息を漏らした。
眉根を寄せて、ん、んんっと艶めかしく吐息をつく様子は、秘めやかな場所に熱いものをねじこまれて身悶えしているようだ。
「……マヤ…」
思わずその名を口にしてしまう。
挿入した薬指でマヤの舌を味わうようにその表面をなぞっていく。自身の指先と弾力のある熱い舌が絡み合い、あたかも溶けてしまう感触が生々しく、劣情がはじけてしまいそうだ。
舌の裏側に指をすべりこませ閉じられた粘膜を突き破るように挿入する。苦しそうに、ん、んんんっと熱い息を漏らす表情が官能的でどうにかなってしまう。
と、そのとき。
………!
鋭い痛みが走り、反射的に指を抜く。
口内への侵入者の執拗な動きに堪えかねて、無意識のうちにマヤはその白く小さな歯でかりっとリヴァイの指を噛んだのだった。