第18章 お見舞い
そのあと数時間もぶっ通しで読みつづけた。
最後のページをめくる。
………。
読み終えたマヤは眉間に皺を寄せている。
……この終わり方…。ニファさんの言ったとおりだ。これは早く続編が読みたくなる…。
ぱたんと本を閉じるとサイドテーブルにそっと置く。
「……ふわぁ…」
怒涛のラストを一心不乱に読破したためか、急激に睡魔が襲ってきた。
「もう寝ようかな」
ランプの灯りを消せば、窓からの月光のみが窓際を煌々と照らした。
マヤは布団を胸までかぶると白い月をしばらく見つめていたが、ゆっくりとその長いまつ毛を伏せた。
……おやすみなさい…。
白く輝く月の光が時を刻み、猫もしゃくしも寝静まった真夜中に。
がちゃり。
再び響く無機質な鍵の音。静かに滑りこむ一人の男。
なんの迷いもなく窓際に置かれたマヤのベッドへ音もなく進む様子は、まるで黒い影。
一日前と同じ場所。
月光で明るい窓を背に立ったリヴァイは、ほとんど聞き取れないため息をついた。
……マヤ…。
穏やかな顔ですーすーと寝息を立てているマヤを見下ろした瞳は、仄暗く揺らぐ。
今日も一日中、執務に追われた。
ずっと頭の片隅にあった顔が今、目の前にある。
ひもすがら想いつづけた。
……この鍵を使って…。
リヴァイは手の中にある銀色の鍵を握りしめる。
ここに来なければきっと、よもすがら想いつめてしまう。
……だからまた来た、マヤよ…。