第18章 お見舞い
「……今度こそ本当に… 帰るよ!」
威勢のいいハンジのかけ声に、ナナバとニファも立ち上がった。
「じゃあマヤ、またね!」
「お大事に~!」
「ありがとうございました」
扉からニファ、ナナバと順番に出ていき、最後にハンジが振り返った。
「マヤ、おやすみ」
ハンジの背後で “おやすみ~!” と二人の声も響く。
「おやすみなさい」
ばたんと扉が閉まり、外からがちゃりと鍵をかける音がした。
「……はぁ… 行っちゃった…」
にぎやかな三人がいなくなった医務室は火の消えたようだ。
急に淋しい気持ちに襲われたが、マヤはぶんぶんと頭を振った。
……お見舞いにきてくれたから、いっぱい楽しい時間を過ごせたんだもの。感謝しなくちゃ。
ハンジさんも、ナナバさんも、ニファさんも… みんな大好き。
良い先輩に恵まれて、とても幸せだと思う。
さぁ、明日はいよいよ復帰!
訓練に任務に真摯に取り組んでいこうっと! 頑張るぞ!
自身に気合を入れ終わると、マヤはベッドから立ち上がった。
窓を閉め、三つの丸椅子を元にあった部屋の隅に片づける。
洗面道具の入ったバッグとタオルを手に医務室を出る。
便所で用を足して手を洗うと、そのまま洗顔と歯磨きも済ませた。
さっぱりとはしたが、少々不満が残る。
……お風呂に入りたいなぁ…。
ミケ分隊長は明日は夕方からでいいって言ってたし…、その前にお風呂に入っちゃおうかな。
久しぶりの入浴はきっと…、いや絶対ものすごく気持ちいいだろうなと想像し顔が緩む。
軽い足取りで医務室に戻るとランプに明かりを灯し、ベッドに潜りこんだ。
……さぁ、つづきを読もうっと!
“恋と嘘の成れの果て” に挟んでいたしおりのページを勢いよくひらいた。